漢方学生実習講座を開催しました
3月18日に、漢方学生実習講座を開催しました。薬学5回生の方、4名の参加がありました。
漢方薬をとりまく現状について、漢方医学と現代医学の違いについてお話し、実際に漢方薬を煎じて試飲しました。
現在、漢方エキス製剤は保険医療において年間出荷額は年間1600億円にもなります。
漢方薬が保険医療で使用されるようになって50年超になりますが、過去には、医師による安易な漢方薬長期継続による死亡者発生の報道により「使い方を誤れば漢方薬にも副作用を生じる」と大きな話題となりました。このため需要は一時下がりましたが再び堅調に伸び続け今に至ります。漢方薬の長い歴史に培われた確かな有効性の証だと思います。
実際の医療現場では、術後症状改善、高齢者フレイルの緩和、抗ガン剤の副作用軽減、婦人科疾患・精神疾患の緩和など多方面に対して用いられています。漢方製薬メーカーの支援もあって大学医学部、医科大学での漢方薬教育も進み、全国の大学付属病院の半数近くに漢方外来が設置されるに至っています。漢方薬は今では現代医療に必要不可欠なアイテムであると言えます。
我々薬剤師は、漢方薬と併用薬との相互作用がないか注意することと、効果が薄い場合に漫然と出され続けてはいないか確認の必要があります。
医師の指示がなくても、薬局やドラッグストアで手軽に購入できる漢方エキス薬を「一般用漢方製剤」と呼びますが、こちらも出荷額は緩やかに上昇がみられ年間500億円にもなります。
この一般用漢方製剤は、より安全に消費者に提供できるよう、効能効果、注意事項等の記述に改訂が進められてきました。
具体的には体質・体力別に応じた目安や、服薬期間の目安を設けたことなどです。
一般用漢方製剤を消費者の求めに応じておすすめする際、薬剤師や特定販売者が直接接することになるので、より効果的に、副作用等なく使用していただけるよう、一種独特な漢方薬の選別知識を持っておく必要があります。
実習の最後に、漢方生薬を調合して「葛根湯」を煎じて試飲しました。葛根湯は7つの生薬で構成された漢方薬です。葛根、麻黄、桂皮、芍薬、甘草、生姜、大棗です。
さらに、葛根湯の顆粒薬と飲み比べをしました。葛根湯は漢方薬の中では比較的”美味しく”飲んていただけるお薬ですが、煎じの葛根湯の方がまろやかに感じました。
西淀川区薬剤師会 宇高